
小学生の時はよく鉛筆を折っていた
鉛筆を折るのが好きだったんだ。
文字通り真っ二つに折る。
両端を持って少しずつ力をかけていく
肌色の鉛筆は段々しなっていって
その一線を越える瞬間がたまらない
鉛筆は新しいのに限る
小さくなってしまったものや
古くて汚れてしまったものは折る意味がなかった。
あくまでも新品の
でも折る前に一度だけ削る
僕の机の引出しは折れた新品の鉛筆でいっぱいだった。
中学生になって
僕は鉛筆を折らなくなっていた。
鉛筆そのものを使わなくなってたしね
でも僕の中の
ひどく暴力的な衝動が消えた訳ではない。
僕はCDを粉々にすることを始めていた。
エアガンを使って。
部屋の隅に適当なCDを置くんだ。
さすがに新譜を次々と粉々にできる程裕福な中学生ではなかったから
もう二度と聴かない様な
クローゼットの奥にしまわれてる古いCDを選ぶ
2メートルくらい離れて
弾痕が円を描く様に一発、また一発とゆっくり作業を進める。
全てが粉々になる瞬間が確かにあるんだ。
高校生になると、僕は鉛筆を折ったりCDを壊したりすることをやめていた。
理由はよくわからない
むやみに物を壊したりすることがとても愚かなことだと
気付いたのかもしれないし
ただギターや女の子に夢中になってそんなこと忘れてしまったのかもしれない
僕は去年二十歳になった
専門学校を卒業して、今僕は俗にいうフリーターってやつだ
少しずつ
少しずつだけどあの小学生や中学生の時の暴力的な衝動が戻ってきてる様な気がするんだ
それは本当に突然やってくる
ただ道を歩いていたり
たばこを灰皿に押し付けた瞬間とか
僕は何を壊せばいいのかな
こないだディストーションを買った
定番中の定番
PROCOのRAT2
思ってたより音痩せがひどくて
ライブでは使わないけど
ただ
ラットのディストーションは何かを粉々に出来るのかもしれない
願い事なんて一つもないぜ